血便と痛みの有無
血便が出た際に、痛みを伴う場合とそうでない場合があります。
多くの人は「痛みがないから大丈夫だよね」と考えてしまうケースが多いですが、これは危険な行為と言えます。痛みの有無は、今自分がどのような状態であるかを推測する一つの要素となるため、本ページでは詳しく解説をしていきます。
痔における痛み
まず、肛門から出血する多くの理由として挙げられる「痔」について解説していきます。
痔(痔核)は肛門周辺の血管組織の腫れや拡張を指し、一般的に内痔核と外痔核の2つの主要なタイプに分類されます。
痛みの有無や他の症状は、痔のタイプや進行度合いに依存します。以下に、痔の一般的なタイプとその症状について説明します。
①内痔核
内痔核は肛門の内側にある痔で、通常は痛みを伴いません。主な症状は血便、肛門からの出血、便秘、排便時のかゆみ、不快感、肛門からの漏れなどです。これらの症状が内痔核の兆候です。
➁外痔核
外痔核は肛門の外側にある痔で、痛みや不快感を伴うケースが多いです。外痔核は通常、肛門周辺の皮膚に形成され、摩擦や圧力によって刺激されることがあります。痛み、腫れ、かゆみ、出血、排便時の不快感が一般的な症状です。
痔の症状や進行度合いは個人によって異なり、一部の人は痛みを伴わずに血便だけが主な症状であることがあります。
痔が症状を引き起こす場合、医師に相談し、適切な治療方法を検討することが重要です。
痛みのない血便の危険性
上述のように、肛門付近に痛みを感じる場合には「外痔核」である可能性もあり、深刻な消化器疾患では無いケースも考えられます。つまり、逆を言えば「痛みのない血便」が出た場合には、消化器疾患に罹患しているケースがあり、深刻な問題を示す兆候である可能性があります。
以下に、痛みの伴わない血便の危険性と関連する疾患についていくつかの一般的な要因を示します。
大腸ポリープ
大腸ポリープは大腸内にできる小さな腫瘍で、一部のポリープが出血を引き起こすことがあります。初期の大腸ポリープは通常痛みを伴わないため、血便が唯一の症状であることがあります。一部のポリープは悪性腫瘍に進展する可能性があるため、がん化する前に大腸カメラ検査で発見・切除することが重要です。
大腸がん
大腸がんは大腸や直腸内にできる悪性腫瘍で、初期段階では症状がほとんど現れないことがあります。血便は大腸がんの早期発見の重要な兆候であり、早急な大腸カメラ検査が必要です。大腸がんは早い段階で発見できるかどうかが非常に重要な疾患です。
消化性潰瘍
胃や十二指腸の潰瘍(胃潰瘍や十二指腸潰瘍)により出血することがあり、これにより黒色便が生じることがあります。この場合にも、当然排便時には痛みを伴いません。
食道静脈瘤
食道静脈瘤は肝硬変などにより、食道の血管が拡張する症状で、出血を引き起こすことがあります。出血性食道静脈瘤からの出血は血便として現れることがあります。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患は、排便時の痛みというより、激しい腹痛が起きるケースが多いです。強い腹痛により排便が促され、血便が確認された場合には、炎症性腸疾患の可能性が考えられます。炎症性腸疾患は難病として指定されている重篤な疾患であるため、早急に大腸カメラ検査を受けましょう。
痛みの伴わない血便は、早期診断と治療の機会を提供する重要なサインであるため、医師の指導に従い、適切な検査や診察を受けることが重要です。放置せずに早期対応することで、潜在的な疾患の進行を防ぐことができます。
当院は、消化器診療・内視鏡検査に注力しているクリニックとして、患者様に苦痛の少ない内視鏡検査をお届けできるよう、日々研鑽を積んでいます。内視鏡検査を受けることを検討されている方は、下記より当院の内視鏡検査の特徴をご確認下さい。