ピロリ菌

ピロリ菌について

ピロリ菌

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃粘膜に住みつき、慢性的な炎症をおこす細菌です。2.5〜4.0μm程度の大きさで、べん毛のよって胃の中を動きます。ピロリ菌は、胃酸の強酸性のもとでも、胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解して、このアンモニアで周囲の酸を生息できるように中和しています。ピロリ菌は幼年期の家庭内感染が主な感染経路となっており、除菌治療などの普及や衛生環境の改善に伴い、現代では年齢が若いほど感染率は低下傾向にあります。“両親や兄弟でピロリ菌除菌治療を行なった“という方は、一度ピロリ菌の検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌抗体陽性と言われたら

ピロリ菌に感染した状態を放置すると慢性的な胃炎が起こり、その結果胃の粘膜萎縮が起こります。それによって胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症リスクが上がり、さらに放置すると胃がんのリスクが高まります。また他にも、胃MALTリンパ腫や、ピロリ菌関連ディスペプシア、特発性血小板減少性紫斑病、鉄欠乏性貧血などはピロリ菌と関連があることがわかっています。ピロリ菌抗体陽性と言われたら、消化器内科の診察を受けていただくことをおすすめいたします。

ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌の検査方法は大きく2つあります。
『胃カメラ検査による組織採取する方法』と『胃カメラ検査をせずに行う方法』です。

胃カメラ検査によって行う検査

ピロリ菌PCR検査

ピロリ菌PCR検査は、胃内視鏡廃液(胃液)を使って、胃内に存在するピロリ菌を検出する検査法です。この検査は胃液を使用するため、胃組織の採取が不要であり、安全性が高い特徴があります。
測定時間は約50分であり、その日のうちに結果が得られるため、結果の説明のために再度来院する必要がありません。また、同時にピロリ菌に対する抗菌薬の耐性も調べることができるため、無駄な内服治療を避け、適切な治療を素早く開始することができます。

迅速ウレアーゼ検査

ウレアーゼはピロリ菌の持つ酵素の一つで、尿素をアンモニアに変えてしまいます。ピロリ菌に一度感染すると、ウレアーゼが強アルカリのアンモニアを作り、強酸を中和して持続的に感染範囲を広げます。
迅速ウレアーゼとは、胃カメラ検査によって採取した組織を用いて、ピロリ菌のウレアーゼの活性度合いを調べる検査です。特殊液につけることで起こる色の変化で判定できます。判定時間が短いというメリットがありますが、採取した組織によって偽陰性(ピロリ菌がいるのにいないと判定してしまう)可能性があります。
また除菌後判定には利用できません。

鏡検法

胃カメラ検査で採取した組織をホルマリンに付け、顕微鏡でピロリ菌の感染有無を確認できます。この方法は胃の炎症の程度も同時に評価することができますが、しかし採取した部位にピロリ菌がいないと偽陰性となる可能性があります。除菌後の判定には利用できません。

培養法

胃カメラ検査で採取した組織を培養することで、ピロリ菌の感染有無を確認できます。培養に時間を要し、結果をお出しするまでに1週間程度の時間がかかります。培養法も迅速ウレアーゼ法、鏡検法と同様に偽陰性の可能性があります。除菌後の判定には利用できません。


胃内視鏡(胃カメラ)以外の検査方法

尿素呼気試験法

尿素呼気試験法は尿素製剤である試験薬を服用して頂き、服用前と服用後の呼気を見比べる検査法です。ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌は自身の生息のために自身が持つウレアーゼという酵素により尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。二酸化炭素は呼気として出てくるので、二酸化炭素の量を調べることで感染の有無を調べる事ができます。
この検査は患者様の身体への負担がなく、検査も30分で終わり、精度も高い検査となっています。また、除菌治療後も判定を行うことが可能です。
正確な診断結果を得るため、検査前6時間前には食事を、1時間前には飲水を控えて頂く必要があります。

便中ピロリ菌抗原測定

便に含まれるピロリ菌抗原を調べるもので、除菌測定の中でも信頼度の高い検査とされています。事前に食事制限もないので、小児でも検査可能となっています。

血中抗ピロリ菌抗体測定

血中坑ピロリ菌抗体測定は、採血した血液の中に、ピロリ菌感染で生成される抗ピロリ菌IgG抗体がどれくらいあるかを調べる検査になります。食事やお薬によって影響を受けないですが、ピロリ菌除菌に成功しても抗ピロリ菌IgG抗体価が完全に下がるには1年以上の時間がかかります。そのため、除菌測定には用いることができません。

尿中抗ピロリ菌抗体測定

尿中坑ピロリ菌抗体は、血中坑ピロリ菌抗体と同じく、ピロリ菌に感染することで生成される抗体で、採尿だけでピロリ菌感染有無を調べられる手軽な検査方法です。食事に影響されず、主に人間ドックや健診などで行われます。血液検査同様抗体検査のため、除菌後の判定検査には用いることができません。


※ご注意

ピロリ菌感染検査や除菌治療で保険適用される場合は、胃カメラ検査も必須となっています。もし、胃カメラ検査を行わなかった場合は自費診療となるのでご注意ください。
ピロリ菌感染がある時点(人間ドックなどで指摘)で、胃がんのリスクは未感染の場合と比較して高くなりますので、除菌治療の前に一度は胃カメラ検査を受け、胃のなかに他に治療すべき病気がないことを確認することを強くおすすめします。

ピロリ菌検査の保険適用

以前までは胃カメラ検査にて十二指腸潰瘍などの疾患が見つかった場合のみ、ピロリ菌検査が保険適用となっていましたが、平成25年2月より胃カメラ検査にてピロリ菌感染による慢性胃炎と診断された場合でもピロリ菌検査が保険適用で可能となりました。
また、そのピロリ菌検査で陽性となった場合の除菌治療も保険適用で可能となりました。

人間ドックなどで半年以内に胃カメラ検査を受けた場合

半年以内に人間ドックなどで胃カメラ検査を受けて慢性胃炎と診断された場合、ピロリ菌検査が保険適用で受診可能です。また、陽性となった場合は除菌治療にも保険が適用されます。

ピロリ菌除菌治療の保険適用

現在、ピロリ菌は薬剤への耐性を付けた耐性菌となって増加しており、1週間しっかりと内服を行なっても、除菌治療は失敗する場合があります。除菌治療が失敗となる原因としては、抗菌薬の薬剤耐性が主な原因であり、抗菌薬の種類を変更し2次除菌治療を行うことが可能です。
当院では現在最も除菌成功率が高いとされる“ボノプラザン”を用いた除菌治療をおないます。臨床試験ではその除菌率は1次除菌で92.6%、2次除菌で99.85%とされています。
治療自体は3回目以降も可能ですが、保険が適用されるのは2回目までとなっており、3回目以降は自費診療となるのでご注意ください。

自費診療のピロリ菌検査・除菌治療

胃カメラ検査を受けることでピロリ菌検査や除菌治療が保険適用となりますが、胃カメラ検査を受けない場合は自費診療となるのでご注意ください。ピロリ菌感染が分かった時点で胃カメラ検査を行うことは、その時点で胃がんなどがなかったとしてもその後にとって非常に重要ですので、一度胃カメラ検査を受けることをおすすめします。

ピロリ菌除菌をされた方へ

ピロリ菌除菌後でも疾患の再発リスクはゼロではなく、胃がんの発症リスクが特に高いため、定期的に胃カメラ検査を受けることをお勧めします。

ピロリ菌を除菌することで一定の胃がん予防効果はありますが、発症リスクは完全になくなることはありません。
そのため除菌後も経過観察は不可欠です。
ピロリ菌除菌をご希望の方、除菌後の胃カメラ検査のご相談については当院までご相談ください。

診療科 内科・消化器内科・胃腸内科・

内視鏡内科・肛門内科
住所 東京都武蔵野市境2-2-20

スクエア武蔵境202
TEL 0422-38-7757
アクセス JR中央線「武蔵境駅」から

徒歩2分
診療時間
9:00~12:30
外来・内視鏡検査
13:30~15:30
内視鏡検査
15:00~18:00
外来・内視鏡検査

▲:9:30~12:30
■:15:30∼17:00
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